こんにちは。
こころの健康支援室 そらいろのmirineです。
台風6号によって、沖縄や奄美地方をはじめとした西日本に、続いて発生した台風7号によって、小笠原諸島に大きな影響が続いています。
被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
残念ながら、政府の動きも台風6号と同じくらいゆっくりしているようで、これまでの大雨被害と同様、政府の災害対策本部ができたという話も聞こえてきません。
一方で、台風の影響を考慮して、首相の長崎平和式典への参列を見送る決定は迅速だったようですが。
引き続き、台風、猛暑、豪雨に警戒が必要なようです。
皆さまどうぞ安全と健康第一でお過ごしください。
「大人は子どもよりも成熟している」と当然のように考えられている。
だが、感受性豊かな子どもが生まれ、その子が数年のうちに親―何十年たってもいっこうに成熟しない大人―よりもずっと精神的に大人に成長してしまったら、どうだろう?
(リンジー・C・ギブソン 2023 親といるとなぜか苦しい:「親という呪い」から自由になる方法 東洋経済新報社 p.10 より)
先月ブログでちらっとお話しした「良い本との出会い」。
その「はじめに」の冒頭部分を引用させていただきました。
ネットサーフィンをしている時に本書の紹介を見つけ、監訳の岡田尊司先生の著書を以前読んだことがあったので、興味をひかれて購入してみた本です。
心理学の本、訳本という点からは想像できないくらい読みやすく、とても面白い本で、届いたその日に通し読みしてしまいました。
帯裏には、「あなたが「ヘン」なのではありません。いつまでもあなたを苦しめる「見た目は大人、中身は子どもの親」4タイプ」と書いてあります。
「大人は子どもより成熟している」と当然のように考えられている社会の中で、「見た目は大人、中身は子ども」に該当する、本書の言葉を借りれば「未成熟な大人」がどれだけいることでしょう。
たとえ自分の親が該当しなくても、精神的に未成熟だと感じる大人と出会ったことがある人は少なくないのではないでしょうか。
精神的に未成熟といっても、精神面すべてが成長していないというわけではありません。
おそらくどんな年齢のどんな人も、成熟している面もあれば、まだ成熟していない部分も抱えているものでしょう。
年齢的には十分大人と呼べる歳であっても、自覚があろうとなかろうと、精神的に未成熟な面によって周りにいる他者に負担をかける、もしくは負担を強いる人が、本書でいう「未成熟な大人」と呼べるのかもしれません。
もちろん、どんな人も誰にも迷惑をかけずに生きていることはありません。
しかし、本書で「未成熟な大人」と呼ばれる人は、自分が他者に迷惑をかけている(かけてきた)という自覚がまったくないことも少なくありません。
さらには、自分はこんなにがんばっているのに(大変なのに)、周りの人たちは自分に負担をかけるばかりで何もしてくれないとさえ思っていることもあります。
実際には、周囲の人たちが微に入り細に入りサポートしていたとしても、それらは空気のように当たり前にあるものと思っていたり、細かな要求が際限なくあったりして、いつまでも満たさないように感じられるのです。
精神的に未成熟な大人を表す上でおそらく最も端的な表現は、本書5章5節の節題となっている、「私を救うために、あなたが変わってほしい」かもしれません。
しかし、誰であれ自分を救いたいのであれば、「もう自分が変わるしかない(p.164)」のです。
本書は、今まさに未成熟な親を持って苦しんでいる人、親ではなくても身近にいる未成熟な大人に悩まされている人はもちろん、かつて子どもであったすべての人にとっても、自分の中の成熟している部分と未成熟な部分に気づく助けとなる一冊だと思います。
正しい現状把握なしに、望む状態に続く道は見つけられないのです。
もしご興味がありましたら、ぜひご一読ください。
かしこ
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