「なんで私ばっかり」と思う時

こんにちは。

こころの健康支援室 そらいろのmirineです。



「なんで私ばっかり…!」

「いつも俺ばっかり大変な思いをして…」

こんな気持ちになったことが、誰でも一度はあるのではないでしょうか。



たとえば私は、洗濯物を取り込んだり干したり、自分以外の家族が使った食器を下げたり洗ったりしている時に、むくむくとそういう気持ちが湧いてくることがあります。

自分があくせくと家の雑事のために動いている時に、家族がソファに座ってテレビを見て、視界に入っているであろう私を手伝おうともしないでいると、余計にそういうイライラが大きくなります。

人によって、「なんで私ばっかり」のスイッチはさまざまあるのではないでしょうか。



そんな気分になった時、皆さんはどんな行動を取っているでしょうか?

大げさにため息をついてみたり、すごく忙しそうに振る舞ってみたり、自分がどれだけ大変かをアピールしたりするでしょうか。

時には嫌味の一つも言ってみたり、イライラが爆発して愚痴と文句をぶつけることもあるかもしれません。

未熟極まりなくてお恥ずかしいことではありますが、私の場合は無言で、いつもより大きな音をたてたり、大きな動作をしながら態度でアピールすることが多いです。

そのせいで食器を割ったこともあります…。



「なんで私ばっかり」と感じている時、自分の負担の重さはスポットライトがあたって浮き彫りになる一方で、身近な他者はそれに比べてずっと軽い負担で安穏としているように感じられます。

いったん気持ちを落ち着けて、冷静に考えれば、他者が担ってくれている部分にも光をあてることができるかもしれませんが、「なんで私ばっかり」の気持ちであふれ返っていると、その気持ちも手伝って客観的に考えることもできなくなってしまいます。

そして、感情にまかせた言語/非言語コミュニケーションは、往々にしてよい結果を生まないものです。

相手とギスギスした状態になった上に、「なんで私ばっかり」の気持ちも解消できずに、より居心地の悪い雰囲気になるということも珍しいことではありません。



「なんで私ばっかり」という気持ちになっている時、そしてそれが解消されずにその気持ちがふくらんでいく時、人は身近な誰かに何かを求めています。

そして、多くの場合、①自分が相手に求めているものが何なのかを把握できていない、②きちんと相手に要求できていないために、「なんで私ばっかり」の気持ちがなくならないようです。



「なんで私ばっかり」の気持ちになっている時、気持ちのまま相手に攻撃的にふるまう前に、自分は相手にどうしてほしいのか、何を求めているのか、一度自分の欲求をふり返ってみる必要があります。

具体的な労力による手助けが必要なのか、感情を慰撫するための何かが必要なのか、イライラや悲しみが何を求めてわいてきているのかを把握する必要があるのです。



そして、自分が相手にどうしてほしいと思っているのかが分かったら、そのままストレートに「○○してほしい」と相手に伝えることが肝要です。

「手伝って」だけだと漠然としているから、「取り込んだ洗濯物をたたんでほしい」と伝える。

「毎日仕事が大変」と遠回しに辛いアピールをするのではなく、「毎日仕事がんばってるからほめてほしい、感謝してほしい」と伝える。

私の場合で言えば、無言で、態度で大変さをアピールしたりする代わりに、「暇だったらちょっと洗濯干すの手伝って」「自分の食器は自分で下げて」と言うということです。



相手にどうしてほしいのか伝えてもいないのに、察してくれないかと勝手に期待して勝手にイライラを募らせるのは、よいコミュニケーションとは言えないでしょう。

無言の態度や遠回しの言葉では、相手に察してもらうことを要求する、受け手に負担をおわせるコミュニケーションになってしまいます。

さらに、受け取り方を相手に任せることで、要求が上手く伝わらず、関係に余計な齟齬を生むきっかけにもなり得ます。



「なんで私ばっかり」と、周りが楽に楽しそうに暮らしているのに自分ばかりが大変で辛いという気持ちがずっと心にあるのは、それだけでなかなかにしんどいものです。

自分の大変さにずっとスポットライトがあたり続けているのに、周りに助ける手がないように感じるからです。

しかし、大人であれ子どもであれ、誰しも生きている中で楽しいこと、楽なことしかないという人はいません。

自分の中では自分の大変さにスポットライトがあたって、しんどさがこれ以上なく明白なものであったとしても、周りの人はあなたから助けてほしいという働きかけがなければ、まず自分の人生に起きているさまざまな事物に目が向いているのです。

自分の大変さにばかり目が向いている自分も、もしかしたら相手の大変さに気づかずに、相手に「なんで私ばっかり」と思わせていることがあるかもしれません。



自分の心にわき上がった感情には、必ずあらわれた理由があります。

「なんで私ばっかり」の気持ちを相手にぶつけてしまう前に、その気持ちの奥で自分が何を求めているのか、じっくりと自分の内面を探してみてください。

自分が何を求めているのかを探し当て、無意識の欲求を「自分は○○がほしかったんだな」と意識にすくい上げるだけでも、ふくらんだ「なんで私ばっかり」の気持ちが少し落ち着くと思います。



かしこ

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