心はくるくると移り変わるもの

こんにちは。

こころの健康支援室 そらいろのmirineです。



東京、大阪、兵庫の三都府県に、近々に緊急事態宣言が発令されそうです。

新型コロナウイルスを抑え込めないまま、対策を緩めたり強化したりしながら一年以上が経過し、経済的にも精神的にも疲弊してしまったという方も少なくないと思います。

政府をはじめとした行政には、緊急事態宣言の先に終息が見えるような、実効性のある対策を切実にお願いしたいところです。



終わりの見えないコロナ禍の中、体調管理とあわせて、メンタルの調子を保つことに難しさを感じている方もいらっしゃるのではないかと思います。

きっと皆さんそれぞれ、現状でもできる気分転換やメンタルリセット方法を工夫しながら、この一年を過ごされてきたのではないかと思います。



遅々として良くならない状況にイライラしたり、一向にコロナが終息する兆しが見えず不安や心配がふつふつとわいてきたり、楽しみが次々と絶たれかなしくなったり等、コロナ禍ではネガティブな気持ちに傾きやすい事柄がどうしても多くなります。

特にネガティブな感情は、時にずっと心に居座って、切り替えたくても切り替えられないように感じられることがあります。

とても腹の立つ出来事があると、時間がたっても冷めやらぬ怒りがふつふつと湧いてきたり、気がかりなことがあると気持ちの落ち着かない不安な状態が長く続いたり…

そういう時は、試しに何もせず何も考えないと決めて、いったん5分ほどじっと座ってみてください。



実際にやってみると、これがとても難しいことだと気づかれるかもしれません。



ほんの数分、何もしないようにと思っても、身体はのどこかがかゆくなってかいてしまったり、うーんと手や足を伸ばしてみたり、動かないようにと意識すればするほど身体がむずむずするように感じられたりします。

何も考えないと思えば思うほど、いろいろな考えが次々わいてはくるくると移り変わり、何かを思い出して笑ったり、また別のことを思い出して怒ったり、山積みになっているタスクにうんざりしたり、ちょっとした心配事を見つけて不安になったりもします。

もしかしたら、5分間は何もしない、何も考えないと思っていたのに、急いでやらなければならないことをふいに思い出して思わず動いてしまった、ということもあるかもしれません。



たとえ思惑どおりに5分間身体は動かさずにじっとしていられたとしても、心の中はなかなかそうはいきません。

次々と浮かび上がる思考や感情は、そのどれも長く居続けることはなく、数秒から数十秒くらいすると次の思考、次の感情へと流れていきます。

特に気にかかっていること、インパクトの大きかったものは、移り変わりの中で何度も何度も現れてくることはありますが、意外にもずーっと特定の同じ思考、同じ感情にとどまることはありません。

むしろ、移り変わらずに「とどまる」ことの方が、心にとってはとても難しいことのようです。



よく自分の心の動きを観察してみると、ずっと心に居座っているように感じられたネガティブな感情も、実際にはずーっとその感情だけで心が占められているわけではないと気づかれるかもしれません。

よくよく観察してみると、怒りや不安を感じているのは長くても一回数十秒ほどで、さまざまな思考や感情が移り変わる中、何度も何度も反復して現れているために「ずっと」そればかりが心を占めているように感じられているのです。



ずっと心にある大きく強く重たい感情には太刀打ちできないように感じられるかもしれません。

しかし、そう感じられた感情が、実際にはずっと同じ大きさ、強さ、重さで心にあり続けているわけではなく、強くなったり弱くなったり、時に別の思考や感情が入りこむ隙間がありながら、くり返し心に現れているものだと気づくと、感情そのものをどうにかしようとするのではなく、くり返しを止めることで太刀打ちする術を見つけることもできるようになります。



コロナ禍の中、さまざまな困難がありますが、心が弱ってしまうとそうした困難がより大きく感じられてしんどくなってしまいます。

何もしないように、何も考えないようにではなく、じっと、自分の心の動き、考えや感情、感覚がくるくると移り変わっていく様子をただながめる、ほんの数分でもそんな時間をとってみてください。

自分の心をどんなものたちが通り過ぎていくのか、それを知ることが心を味方にする最初の一歩になります。



かしこ

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