こんにちは。
こころの健康支援室 そらいろのmirineです。
9月に入り、今週は台風の影響もあって各地で不安定な天気が続いています。
真夏日超えの残暑もしばらく続くようです。
酷暑の疲れ、夏休みの疲れ、新学期のスタートに気を張っていた疲れ等が出てくる頃合いかもしれません。
切り替わりの時節は、ご自身の心身の調子に注意しながら、丁寧に過ごしていきたいですね。
先週のブログ記事でもトラウマについて取り上げましたが、自分自身と向き合う作業の一貫として、トラウマに関する本をいくつか読み始めました。
X(旧Twitter)でフォローしている心理士の方が以前紹介していた「ポリヴェーガル理論臨床応用大全(ステファン・W・ポージェス 2023 春秋社)」という本を少し前に購入していたのですが、分厚い専門書でなかなか読み進められず…。
理論はもちろんですが、実践できるエクササイズが載っている「からだのためのポリヴェーガル理論(スタンレー・ローゼンバーグ 2021 春秋社)」をあらためて購入し、読み始めました。
あわせて、トラウマに関する本や、興味のひかれた本をいくつか購入したので、これから順に読んでいく予定です。
「からだのためのポリヴェーガル理論」は、第一部で神経をはじめとした身体の構造と、自律神経についての従来の理解、新しい理解としてのポリヴェーガル理論を詳細に説明し、第二部で新しい自律神経に関する理論に基づいた、簡単に実践できるエクササイズが紹介されています。
効果の測定や実証のために理論は不可欠ですし、理論的な理解は認知に結びついた問題や課題に対しては読むだけでも効果があるかもしれません。
しかし、特定の身体感覚、身体の状態によって問題や課題が生じている場合、理論的なことを理解するだけでは改善を実感しづらいところがあります。
しばらく第一部をはじめから順に読み進めていたのですが、三分の二ほど読み進めたところで、第二部のエクササイズを試してみることにしました。
エクササイズの詳細については、本書をご参照いただければさいわいです。
本書で「基本のエクササイズ」とされているものは、非常に短く簡単で、日常にも取り入れやすいものでした。
正直、エクササイズの手順を読むだけだと、これで何か変わるのだろうか?と疑問に思うくらいです。
もちろん、基本エクササイズや、他の紹介されているエクササイズを試したからといって、誰もが劇的な改善を実感できるわけではないでしょう。
しかし、少なくとも私自身は、基本エクササイズをはじめて、そして続けてもう一回試してやってみた後、まるでBGMのように何というわけでもなくいつもあった、胸のあたりがざわざわと落ち着かないような感覚がすっと落ち着いたのです。
不安というほど大きくも明確でもない、焦燥感のようにざわざわした、心が落ち着かない感覚。
これが落ち着いたことで、いつもより少し息がしやすいと感じました。
なんでもないように生きていても、ちょっとしたことがなぜかそこはかとなく怖い。
それを本当に怖いと思ってしまうと恐怖症になりますが、恐怖症、不安障害というほどひどくもなく、でも普通に生活していくだけでひどく疲れたり、ストレスを受けることが多いため、普通の人より消耗してしまう。
幼少期からのsmall-tの積み重ね等で、こうした負荷を自分でも自覚のないうちに抱えながら生きている人は、もしかしたら意外と多いのかもしれません。
最初に基本エクササイズを試した後、落ち着いた感覚に注意をかたむけていると、その奥からいつものざわざわした感覚が戻ってこようとしていることにも気がつきました。
正確には、戻ってこようとしているというより、私自身がその感覚を探してしまっているような感じでした。
私にとっては、ざわざわした感覚があることがあまりにもあたりまえになっていて、知らずしらずのうちに心身が慣れた感覚に戻ろうとしてしまうようです。
長年慣れた感覚は身に染みついていて、決して居心地のよくない状態であっても、慣れ親しんでいる楽さや安心感にそこに安住してしまいたくなるのは、身体も心も同じのようです。
その時々の感情や考え、想いに目を向けることはあっても、普段の生活の中で、日常の体験のベースである自分の身体の感覚に意識を向けることは、もしかしたら意外にもほとんどないのかもしれません。
今回、本書のエクササイズを試してみたことで、人の体験がいかに身体に依っているのか、ざわざわを感じながら過ごす負荷がどれほどしんどかったかにも気づくことができました。
本書のサブタイトルは、「迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒やすセルフ・エクササイズ」です。
迷走神経を整えるというアプローチにご興味のある方は、ぜひご一読ください。
かしこ
コメント