こんにちは。
こころの健康支援室 そらいろのmirineです。
【わたしとであう】シリーズ、前回は、さまざまな要素を含んだ「体験」としてひとまとまりで認識されているものを、「思考」「判断」「感情」「感覚」に分解し、区別してみることで、自分の心がどんな風に動くのか、動いているのか、心の動きを追えるようになることをご紹介いたしました。
「思考」「判断」「感情」「感覚」を区別するとはいっても、実際にやってみるとなかなか難しいと感じられた方も少なくないかもしれません。
普段の生活の中で、「これは思考だな」とか、「今のこれは感情の入った判断だった」とか、俯瞰して考えることも普通はあまりないことだと思います。
「区別する」という視点が新しいものであればあるほど、「思考」なのか、「判断」なのか、「感情」なのか、「感覚」なのか、分けて捉えることが難しく感じられるかもしれません。
この四つの中で、扱いが難しい一方で、最も気づきやすいのは「感情」です。
なんなら、感情こそ体験の核と言っても過言ではないかもしれません。
その体験にどんな感情スタンプが押されたかによって、同じ人が同じ体験をしてもまったく違った印象を持つことも珍しいことではありません。
たとえば、ある時は自分の心が望むまま楽しく絵を描いていたのが、別の時には人の目が気になって描くことが楽しくないどころかストレスに感じられてしまうこともあるでしょう。
「絵を描く」という体験は同じでも、その時々の感情によってまったく印象の異なる体験となるのです。
それくらい、感情が持つインパクトは他の要素よりもずっと大きく、時に重くすら感じられるものです。
だからこそ、「感情」は体験の中で一番気づきやすい要素でもあります。
自分がどんな体験に、どんなきっかけで、どんな感情を抱くのか、感情に注目することでその流れが見えてくるようになります。
普段自分はどんな感情をよく体験しているのか。
一日のうち、自分の心に長く居座ることが多いのはどんな感情なのか。
あなたがよく慣れ、親しんでいる感情はどんなものなのか。
あなたは知っているでしょうか。
感情が強いインパクトを持つのは、感情そのものが自分自身からのシグナルとしての役割を持っているからです。
たとえば、怒りは自分や大切なものを守ることを、恐れは起こり得る未来へ備えるように促します。
しかし、そのシグナルがいつも適切な状況認識に基づいているかというとそういうわけではありません。
これまでの経験則や、認識の偏り、こういうものだという思い込み等にも影響されて、適切ではない場面で感情が強く訴えてくることもあるのです。
感情は、より良い適応のための行動を促すシグナルであると同時に、これまでの経験から自分がどんな思考パターンや行動パターンを持っているのかに気づかせてくれるシグナルでもあるのです。
一日の終わりに、今日自分がどんな感情を体験したか、ふり返る時間をとって観察してみてください。
そして、一番最初に浮かんだ感情、もしくは一番インパクトの大きかった感情と、それにまつわるエピソードを、簡単でいいのでノートや手帳等に書き留めて、記録を残してみてください。
必ずしも毎日できなくてもかまいません。
感情ごとに、使う色を変えたりすると、自分が普段どの感情をよく体験しているのか、ぱっと見て分かりやすくなります。
一週間、一ヶ月と、記録が積み重なると、普段の生活で自分がどんな感情を体験しているのか、どんな時にどの感情が喚起されるのか、見えてくるようになります。
普段体験している感情が自分にとって望ましいのかそうでないのか、もし望ましくない感情体験ばかりしているとしたら、どうしたら自分の体験する感情を変えていけるのか、考えるきっかけとなってくれます。
自分が何をどう感じているのか知らせてくれる感情のシグナルを受け取って、自分自身への理解を深めていきたいですね。
コメント