自分の中の「あたりまえ」を見つめ直す

こんにちは。

こころの健康支援室 そらいろのmirineです。



10月に入りましたが、あたたかい日が続いています。

全国的に緊急事態宣言が解除され、いい秋の陽気が続いていますが、ウイルスが活発になる冬に向けて気を緩めすぎずにコロナ対策を続けていきたいですね。

身近でもワクチン接種者のブレークスルー感染の話を聞きますので、皆さまどうぞお気をつけてお過ごしください。



新型コロナウイルスの流行を契機に、世界中でたくさんの「あたりまえ」があたりまえでなくなる場面が多く生じました。

生活のいろいろなところに波及するさまざまな変化によって、大変な思いをしたこともあれば、変化の内容によっては助かったり救われたということもあるかもしれません。



多くの場合、きっかけでもなければ「あたりまえ」になっていることをあらためて問い直すことはあまりしないものです。

「あたりまえ」は、あらためて考えるまでもなく、自分や集団の中で思考や判断の前提となっているものだからです。

そういう意味では、未知の感染症の流行は、生活等の物理的な側面だけではなく、観念的な領域にも大きな変化の波をもたらしたといえるでしょう。



コロナほどインパクトの大きなきっかけがなくても、どんなに「あたりまえ」なことであっても、時代や環境の変化とともに少しずつ変わっていくものです。

新しい発見や技術の普及によって、以前はあたりまえだったことが通用しなくなったり、人々の考え方がアップデートされることによって、しつけと体罰や虐待が明確に区別される等、どんなに「あたりまえ」のことも不変というわけではありません。



しかし、前述した通り、「あたりまえ」は考えや判断の前提となっているので、何かきっかけがなければアップデートすることなく「こういうもの」と思いこんだまま過ごしてしまうことも少なくありません。

時代の変化や環境の変化によって社会的な「あたりまえ」が変わるのと同じように、歳を重ね、経験を重ね、身近な環境や人間関係が変化することで、自分にとっての「あたりまえ」もアップデートした方が生きやすくなることもあります。

そのためには、今の自分が持っている前提、「あたりまえ」の形を知らなければなりません。



以前、文章完成法という心理検査を参考にして、自分がある物事についてどう考えているのかを明らかにするワークショップを行ったことがあります。

文章完成法とは、文章の一部が書かれた設問の空欄部分を好きな内容でうめて文章を完成させてもらい、その内容等によってその人の性格や傾向を読み取る心理検査です。

ワークショップでは、たとえば「仕事とは、_____です。」というような設問をいくつか用意したワークシートを使って、思いつくままに好きな内容を書き入れて各設問の文章を作ってもらいました。

書いた内容を見返し、他の参加者の方たちの回答と比較したりすることで、今の自分が各設問に関することをどのように捉えているのかを明確にすることができます。



「私はいつも_____。」

「家族とは一般的に_____。」

「感情はふつう_____。」

「働くとは、_____べきである。」



各設問で、ある主題について、「〜です/である」「いつも」「ふつう」「一般的に」「べきである」「ねばならない」「できる/できない」といった、一般化や制限等をあらわす表現を設定することで、主題について今の自分がどう感じているか、どう考えているかを明らかにすることができるのです。

ある物事について、自分がどう思っているのかをあらためて取り上げて考えることは、実際にはなかなかしないものです。
今の自分の「あたりまえ」が分かると、それが今の自分に適しているのか、今の社会に適しているのか、精査することができるようになります。

ワークシートの代わりに、例に挙げたような設問をご自身でノート等に書き出して、考えや判断の前提となっているご自身の「あたりまえ」の形を見つめ直してみると、気づくことがあるかもしれません。



かしこ

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