【わたしとであう】自分の快/不快を知る

こんにちは。

こころの健康支援室 そらいろのmirineです。

間があいてしまいましたが、久しぶりに【わたしとであう】シリーズの更新です。



前回は、体験を構成する要素の中でも特に気づきやすい「感情」に焦点を当て、普段自分がどんな感情を体験しているのか、記録してみることをおすすめいたしました。

感情は、自分からのシグナルの中でもアピールが大きく、比較的気づきやすいものだからです。

「喜怒哀楽」をはじめ、代表的な感情には名前もあり、概念としても扱いやすいものです。

そうしたさまざまな感情に注意を傾けていると、自分の中で生起するさまざまな感情に連関して微細に変化する感覚の差に、少しずつ気づくことができるようになってきます。

たとえば、ぱっと顔に熱が上るような怒り、胸のあたりがずーんと重く落ち着かなくなる不安、ヒュッと血の気の引くような恐怖、ほんわかと心があたたかくなるようなよろこび、等々。

どんな感情に、どんな感覚が連関しているかは、人によって本当にさまざまで、同じ「怒り」というくくりであっても、人が違えばまったく違う感覚を体験しているものです。

血を分けて、同じ環境で育った家族であっても、同じカテゴリの感情でも、まったく違う体験をしているのが普通です。

自分の体験している感覚と感情は、その身体と意識を持っている自分にしか体験できないものなのです。

今、自分が本当に何を感じているのか、それは自分自身が知ろうとしない限り、本当には誰にも知ることはできません。



感情も、同じ「怒り」と呼べるものであっても、たとえば「イライラ」と「激怒」であれば、それに連関する感覚と体験はまったく異なるものになるでしょう。

自分が本当はすごく怒っているのに、ただイライラしているだけだと思っていたら、自分の望む結果を得ることは難しいでしょう。

同じように、本当は少しイラッとしただけのことを、ものすごく強い怒りだと感じて外に出せば、それも自分の望んでいる体験にはつながらないでしょう。

自分が本当には何を感じ、何を考え、何を望んでいるのか。

自分が発するシグナルである、感情と感覚に注意を傾ける習慣をつけ、その微細な変化と差異に気づくことが、本当の自分に出会う入口になります。



そうはいっても、感情よりもっと漠然としている感覚に、どう気づいたらいいのか分からないという方もいらっしゃると思います。

感覚で最も分かりやすいのは、快/不快の感覚です。

今自分が感じているものが、どちらかといえば心地良い、快いものなのか、それとも少し嫌な感じのする不快なものなのか、たとえどらちとも言えないと感じるものでも、ちょっとした差異を探して、どちらかを判断するように意識してみてください。

たとえば、お昼ごはんにイタリアンを食べるか、和食を食べるか迷った時、強いて言えば今自分はどちらをより食べたいと感じるか、つまり、今の自分にとってどちらを食べる方がより快の感覚に近いのか、自分の感覚にしっかりと注意を傾けて、本当に惹かれる方を選んでみてください。

最初は、自分のちょっとした感覚の違いが分からずに、どれだけ注意を傾けても分からない、どっちでもいいと感じられるかもしれません。

人と食べに行く時には、時間もかかってしまうから、そんな悠長なことはできないと思われることもあるでしょう。

お昼に何を食べるかだけでなく、日常のさまざまな場面で、「どちらがいいか」「何がいいか」を選ぶタイミングが必ずあります。

最初は、他の人に迷惑のかからない、いくら迷っても分からなくても自分にだけ影響があるようなタイミングで、時間をかけてじっくりご自身の中の感覚の微細な差異に注意を傾けてあげてください。

最初はよく分からなくて、差異なんかないように感じていても、自分の内側に注意を向ける練習を続けていると、ほんの少しずつでも、強いて言えば若干こっちがより食べたい気がするとか、こっちの方をイメージした時の方がほんの少し自分がうれしそうな気がするといった、小さな自分の感覚の違いが感じ取れるようになってきます。



こっちと思ったけど、実際食べてみたら違ったということも、もちろんあるでしょう。

しかし、まずは正確に自分の感覚をキャッチできるかということよりも、自分の内側で感じているものに意識と注意を傾けようとし続ける姿勢を身につけることが、何よりも重要なのです。

安易に外側の都合にあわせたり、適当な誰かの意見や案に乗ってしまうのでなく、たとえ小さなことであっても、自分自身に問いかけ、自分自身に意識を向けることで、自分は自分の本当のところを知りたいし、自分の望みを尊重し、できれば叶えたいという意思を、自分自身に示すことにつながります。



日常の中で、ご自身の感覚に注意深く意識を向ける時間を作ってあげてください。

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